いや、それはないよね…。 その可能性は…ない。 多分……ないよ。 頭の中で否定を繰り返した。 「本当に可愛い反応するよな、紗智は。顔、赤くなってる…。」 耳元に埋めていた顔を離した九条君は笑みをこぼした。 「やだっ…、見ないでよ。この手も、いい加減に離して!」 顔を俯けながら、掴まれている手を動かそうと力を入れたけど、九条君には適わない。 「そういう強気なところも、いいよな。」 それどころか、九条君には私の素振りや言葉は肯定的に捉えられてしまった。