「窓の外眺めて、何か考え事してんの?紗智。」 ビクッ…… 窓ガラスに伸びる手を辿るようにして後ろに振り向くと、そこにはニヤリと笑みを浮かべている九条君がいた。 「別に考え事なんかしてないわよ…。いっ…いきなり近付いて来ないで。」 「紗智が気付かないのが悪いんだろ?俺、気配を消してたわけでもねぇし。」 九条君は楽しそうに私を見つめながら、伸ばしていた腕を少しずつ曲げて私に近付いてくる。 そして… 私は、窓ガラスと九条君の間に挟まれるような状態になってしまった。