「紗智、どうかしたの?急に慌てちゃって…。」 「何でもないの…!ほらほら、もうすぐホームルーム始まるよ?」 不思議そうな顔をしている汐莉を急かすように声を掛けた。 どうしよう…。 さっさと返してもらいたいけど…、九条君は休み時間ともなれば、女の子たちに囲まれちゃうからな…。 あのテンションの高い女の子たちの輪を割いて、九条君に声を掛けれるわけないし…。 やっぱり放課後に自習室で返してもらうしか方法はなさそう…。 気は乗らないけど、仕方ないよね…。