ホワイト キャンバス

「はぁ……」
小さな溜め息が聞こえたと思いきや、春がこっちにゆっくりと戻って来ていた。

ーー何で…?

「ほら」
春がそう言ったと同時に差し出された大きな手。

「ーーえ?」
途端に間抜けな声を上げた私は多分、今とんでもなく驚いた顔をしているに違いない。

「莉子が歩くの遅いから」
そして、さっきより一層手を私の前に突き出した。

ーーこれってもしかして……
「…え、と…」

春は、戸惑う私を見て少しだけ不機嫌そうな顔をしてから強引に私の手をひいた。