「うーん…どうだろ」
夕日に照らされた私たちは、いつの間にかさっきまでの暑さはなくなり、どこか穏やかな空気が流れていた。
「…莉子って本当可愛いよね」
「…へ？」
咲のいきなりの発言に間抜けな声を出した私。
か…可愛い？
「ほんと、そういうトコ可愛いと思う！」
「…えーっ。それ、誉めてるの？」
「うん、誉めてるよー！」

そんな何でもない会話の中、小さな沈黙ができる。
咲はどこか遠くを見ているように見える。
いつもと少し違う咲に、戸惑いを感じつつもそんな空気も居心地が良かった。