「だから!!春兄のこと・・・」



鋭く私の気持ちまで見透かしているようにして遥ちゃんは言葉を並べていく





それが返って追い詰められてるようで、ツライ





「えっ?
あぁ・・・春馬さんのこと・・・って、何だっけ?」





この場から逃げることも隠れることも出来ない私はどうすれば良い?





「仲取り持ってあげようか?…って。」





本当は素直に頷きたい自分がいる





だけど莉子のことを思うと素直に頷くことなんて出来るはずもない





そんな私の複雑な心境を知ってか知らずなのか、尚も鋭く痛い所を突き刺してくる





遥ちゃんは可愛らしい笑顔を向けると

「その代わり」

と紡いでいた





ドキン――…





大きく脈打つ心臓の音はまるで私に聞いてはいけないと教えてくれているような気がした





だけど逃げる術を身につけていない私はどこまでもお人好しなのかも知れない









つくづくと、そう思ってしまう










ちょいちょいっと、呼ばれて涼平くんの手を離して遥ちゃんの所へ行こうとした時、一瞬、涼平くんの握る指が強くなるのを感じた





だけどそれも一瞬





気づけばスッと涼平くんの指からすり抜けいた





そんな私たちのやり取りを見てた遥ちゃんの目に何だか殺気だったような恐い気配を感じた









何となくだけどその目に違和感を覚える







騒ぎ出す心臓の音をかき消すかのようにして一歩一歩とゆっくり遥ちゃんに近づく私はきっとバカなんだ――…