その瞬間、中から出て来た人を見てフリーズしてしまう――…
「なっ、何で…?」
そんな言葉を吐き出したけど続きが出ない。
…――いるの?
そう言いたいのに声は出なくて、お互いビックリしてしまったみたいで言葉が出てこなかった。
私を凝視しているのは、目を丸く見開く扉から出て来た男と、私の目の前にいる涼平くん。
涼平くんは、怪訝そうに眉を顰めているかと思えば「誰?」何て聞いてくる。
同じく扉にいる男もフリーズしていたけど、一瞬で涼平くんと同じ表情になった――…
えっ?
何でそんな顔をするのか分からない私はただ、ぽけぇ~と口を開いて彼らの顔を見守ることしか出来なかった。
見かねた遥ちゃんは溜め息を吐きながら目を閉じ、扉がの男に手を添えて「こちらは…」なんて紹介を始め出した。
その時さっきの違和感が解消された――…
「あっ!」
私のその言葉で3人が振り返る。
「えっ?」
「へっ?」
「はっ?」
何て声がハモって誰が何を発しているかなんて正直分からなかった。
私は“はっ"として開いた口に手を当てる。
私が扉側の男と遥ちゃんの関係に気づいたことに気が付いたのか、ニコッと笑いかけながら彼女は口をまた開いた。
「こちらは、私の兄の立川 春馬。」
彼女は、春馬さんの紹介を終えると涼平くんに今度は手を添えて紹介を始めた。
「で、春兄…こっちが、結城 涼平くん。」
「あぁ~…雪先生知り合いだったんですね?
まぁ、同じ大学だから…知り合いでもムリないですよね。」
なんてことを言う彼女に遠い目をしながら、ソッと聞こえない程度に溜め息を零す。
