そんな顔をしている私に更に追い討ちをかけてくる。
『…だから止められなかった。
つぅーか、止め方が分かんなかった。』
そう話す涼平くんはどこか落ち着いてて、でも謝罪する気持ちはストレートに胸に入ってきた――…
ただ1つの疑問を残して………
ってか、待て待て!
可笑しくない?
昔、好きで付き合ってた彼女さんがいたんだよね?
なのに彼女さんには、そんな気が起こらなかったわけ?
そんなこといくら中学生の子でもないよね?
『これからは、気を付けるから…』
“許してくれよ"と力なく呟く涼平くんにとうとう怒りが爆発してしまった。
「はぁ~?
あたしのファーストキス奪っておいて…“気を付ける"だぁ~?
“気を付ける"だけだったらまた同じことしたらどう責任取ってくれるのよ?
あたしの職を取る気?
あたしは生徒に手を出さないし、好きにならない!
あんなことはもう絶対にしないで!!!良い?」
電話の向こうの男に捲くし立てるような言い方をしたのに彼には伝わらず。
『ファ……ファーストキスだったの?』
迂闊にも口を滑らせてしまった私の羞恥に一点集中が注がれた。
顔に熱が籠もる。
周りに人がいなかったのが全てもの救いのような気がした。
「そっ、そうよ!悪い?」
とうとう私は開き直ってしまった。
『…ウ……ソ……
……マジで……?』
ボソッと呟く声はどこか戸惑いを含んだ声にも聞こえた。
そんな彼に溜め息が零れ落ちた。
「ホント…」
それだけ言うと信じられない言葉が返ってくる。
