「…いいよ!」





『良いの?』





「今日は予定ないし。
どこまで行けば良い?」





『えっ?今どこ?』





「今、地元の駅に着いた所。
もうちょっとで家。」




『迎えに行く。』





ダッ、ダメッッッ!!!







私の脳裏にはこの間のあんなことやこんなことが色々と過ぎり危険信号を発した!!!






そう思うも、それを上手く口に出して誤魔化す術を身に付けていなかった私は、ただ無言でたじろぐことしか出来なかった。






『…あ……』





何かを思い出したように甘い声は発せられる。





『この間のこと…?』





何もなかったようにして平然と応える彼が理解出来なかった。




私にとってはファーストキスだったのに………彼にとっては、何でもない道端でたまたま見掛けた子猫にするような感じ?





それともたまたまあったジュースに口を付ける感じ?






涼平くんが分からないよ………。





涼平くんがいくらカッコ良くても…皆が皆、涼平くんに『OK!』を出すわけじゃない!





それなのに――…





だけど彼から出た言葉は私が予想していた言葉ではなかった。




『ゴメン‥‥‥。
本当にゴメン‥‥。
雪を傷つけるつもりはなかったんだ。』





その言葉に耳を疑った。





『初めてなんだ。
自分からキスしたいって思ったのが‥。』




「はっ?」





開いた口が塞がらないってこういうことを言うのかな?





絶対、今の私の顔を見たら間抜けな顔をしてるはずだと思う。