「まぁ、取り敢えず涼平くんにも聞いてみてよ?」





断るタイミングを失った私は頷くことしか出来なかった。





何気ない日常会話。





あの子のこと、家庭教師のバイトのこと、大学の授業のことそんな会話は出来るのに、何一つあなたのことについては聞くことが出来なかった。





いらないことは話せるのに肝心なことになるとどうして口を閉ざしてしまうのだろうか?





気づけば地元の駅に着いてしまっていた。




ゆっくりホームに急停車していく――…





扉が開くとそのままもたれてた反対側のドアから飛び退き、春馬さんに「お疲れ様でした。また連絡します!」とだけ伝えて、電車を飛び降りた。





「じゃあ、また…」と手を振るあなたを見送り電車は次の駅へと向かって行った――…





遠のく電車を見て、私とあなたとの距離感を感じてしまった。