そんな話しをしていると、信号が青に変わりまた駅に向けて歩き出す。
「えっ?
でも、俺もう帰るだけだし、ハンカチ使わないし…。」
「えっ?
今日はバイトないんですか?」
「あぁ、生徒まだ高1だし、バイトも9月中頃まで夏休み。」
「えぇ!
良いなぁ~!
私なんて、高3の受験生だから夏休みはなさそうなんです。
しかも1人増えそうで…。」
「2人になるの?」
「はい。
涼平くんの学校の子らしいんです。
私のことを話したら、気に入られたみたいで…。
何なんでしょうね?」
「ふぅ~ん…。
で、いつから?」
「まだはっきりとは決まってないんですが、夏休みに1回会って、その後からになりそうなんです。
その子も受験生らしいんで、これから大変になりそうです。」
「そうなんだ…。
何かあったら言って。
一応、俺も去年、受験生持ちだったし、ちょっとは役に立つと思うしさ…。」
そう言いながら笑顔を向けてくれる春馬さんに自然とテンションも上がり、笑みが零れる。
「ホントですかぁ~?
実は受験生の担当ってだけでプレッシャーで不安だったんです。」
「いつでも聞いておいで…。
あっ!
携帯、聞いても良い?」
“ドキン"
また心臓の音が大きく飛び跳ねる。
まさか春馬さんからそんなこと聞いてくれるなんて思ってもみなかった。
だからなのかな?
『春馬さんも、もしかしたら私と同じ気持ちなのかな?』とか有りもしないことばかり考えてしまうのは…。
スゴイ嬉しくて春馬さんしか見られなくなるんじゃないかって思うくらいドキドキした。
波打つ脈が煩い――…
このまま私、どうにかなっちゃうのかな?
