だけど、その日の講義は頭に入らなかった。
溜め息を吐きながら講堂を出る。
「じゃあ、あたし今からサークルだから…。」
「うん!
気を付けて…。」
そんな言葉で、私たちは分かれた。
2限目までの授業の私はお昼も食べずに外に出る。
帰り道――…
“ドキン"
あの人にばったり出会う。
私の遥か前を歩く後ろ姿に心臓が飛び跳ねた。
走れば追いつける距離。
だけどあの人にはあの子がいるから――…
走る勇気もなくてただただあなたの後ろ姿をあなたよりも遥か後ろの方からから眺め見ることしか出来ない。
例えば莉子が親友でもなくて、莉子の好きな人があなたでもなければ、きっと今すぐ走り出してあなたに猛アピールしてると思うのに………。
それが出来ない自分がこんなにも辛くて苦しいなんて思いもしなかったよ…。
私はどんなことがあっても自分の気持ちに素直になることは出来ないのだろうか――…
どうしてあなたは私の親友の大切な人なんだろう?
もどかしい気持ちになるよ…。
この行き場のない気持ちはどうすれば良いの?
素直になれたらどれだけ楽になるのだろう?
またあの頃のようにいつか笑って2人のことを祝福してあげることが出来るのかな?
