「元カノの男ってのが、俺の中学の時の担任。

で、その旦那があのセンコーの旦那。」





「えっ!?」





その言葉に一瞬、息をすることを忘れ、時間が止まったのかと思った。





目を見開くとそこには自嘲気味に笑う涼平くんの姿が、どこか辛そうにも見えた。





続けて「笑えるだろ?」なんて言う彼の目は笑ってなくて、どこか腑に落ちない顔をして笑っている。





「アイツに俺と同じ思いをさせてやりたかったんだ。

そう思ってた時にあのセンコーの旦那の存在を知ったんだ。」




じゃあ、彼が近づいた“先生"はその元カノの彼氏だった先生の奥さんってことなの?






「俺はあのセンコーに近づいた。

あの男や元カノに俺と同じ想いを味合わせたくて…。」





横に向けていた顔を自分の足元に移しかえ、彼の甘く低い声に耳を傾ける。





「元々、あの女と別れてから来るもの拒まず、去るもの追わない性格になってたし、体だけの関係なんて慣れてた。

だからって関係を持った女と付き合いてーとも思わねーし、そんなことだけで気持ちを押し付けてくる面倒な女とは、一緒にいてーとも思わなかった。」






その言葉で前の家庭教師の先生とも何かあったんだと勘付いてしまった。