「でも、俺聞いてしまったんだ…その男が本当は本命だったって。

有り得ねぇー、ヒデー野郎なのに、アイツは俺よりもその男の方が良いって言いやがったんだ。

俺と付き合ったのも、そいつに近づきやすくするため。
俺と付き合ってることが校内で、噂になれば、そいつと後で影でコッソリ付き合ってもバレた時にも言い訳が出来るって思ったんだって。
それに俺が彼氏だって言ったら、皆羨ましがって、鼻が高いからって…。

そんなヤツを本気で好きになるとか俺、有り得ねぇーよな?」





「………」





自嘲気味に鼻で笑う仕草は、どこか自分を卑下しているようで、胸が強く締め付けられた。





「俺があの先生に近づいたのも、そいつらへの復讐心があったからなんだ。」






その言葉の意味が分からなくて、一瞬、顔を彼に向けると苦笑いをする彼の姿が目に映った。