赤い糸




「なっ、何よ?」





恥ずかしくて余裕ぶって冷たく聞き返していた。





どもってる地点で、作戦は失敗してバレている感じはするんだけど…。





流れ出る冷や汗を隠しながら、彼にソッと目を向けると屈託ない表情で笑う彼に目が逸らせなくなってしまった。





キレイ!
思わず触れたくなる、この顔はやっぱりズルイと思う!





好きとか嫌いなしにしてでも、絶対見入ってしまう。






「雪、余裕ぶってるけど顔真っ赤だし…。

俺の顔は高いよ?」





そう余裕ぶって話す所がカッコ良くて年下と言うことを忘れてしまいそうになる。





そんな状況が堪らなく、悔しくて思わず子どもっぽい行動に出てしまい墓穴を掘る。




『アッカン……ベェーだ!!』





そんなことをする。
勿論、右手の人差し指は下瞼を引っさげている――…





思わずそんなことをしてしまった私は、後々、彼が大爆笑してしまった時に初めて自分がやらかしたことを“恥ずかしい"と感じることになる。





「アハハハハ…」なんて言う涼平くんの笑いが部屋中に木霊する。





やっ、やってしまった…。
私、絶対子どもだよ!




“アッカンベェー"なんて何歳児よ?
小学生かよ…!





穴があったら入りたい…。





涙を拭う彼を見て、苦い顔を向けると、申し訳なさそうな顔をする彼と目があった。





「できたよ!」





「はい」なんて良いながらプリントを渡してくる。





解答用紙をファイルから取り出した。





机の上にプリントを並べて小テスト擬きを採点していく。





悔しいくらいにキレイに書かれた文字。





“○"の数が増えていく――…