「先生は勉強教えてもらってる時だけ。
今は違うから“雪"…。」
「…何ソレ?」
「良いじゃん。
そう呼びたいから呼ばせてよ。」
そう呟くと、ニヤリと笑っていた。
好きとかそんな感情ではないけど、不思議と涼平くんの顔や仕草は母性本能を擽られる何とも言えない可愛らしさを持っていた。
そんな顔も仕草も愛しく可愛いなんて感じてしまう私はきっと重症なんだと思う。
それにこんなカッコ可愛い子に“そう呼びたいから呼ばせてよ"なんて言われて“No"なんて言えるワケがない。
きっとそんな女心を分かりきっている涼平くんは確信犯なんだと思う。
素直に頷くことしか出来ない自分が情けなくなってくるよ。
「…うん。」
そう呟くと涼平くんはニッコリ笑い、私を軽く抱き寄せた。
えっ!?
自分の置かれている状況が理解出来ず、涼平くんの温もりを感じ取っていると――…
耳元で「雪」と低く甘い声で囁いてきた。
それには驚いてしまい、顔に熱がこもり火照っていくのが分かる。
涼平くんは、そのままゆっくりと体を離して行き――…
気付くとさっき座ってた席に座っていた。
