ある日、

気づいたらその人はいた。

五十代の男性だった。



名前は草野さん。



とにかく大きな声でしゃべる人だった。

タバコを吸う人だったから、

喫煙室にも来る。

そして談話室のテレビも見る。

自分の病室にいない人だった。