俺が容赦なく近づいていくと
急に菜乃香がペコペコしだした
「ご、ごめんなさい!
夕矢はぜんっぜん悪くないよ!
ほんと、申し訳ありませんでした」
「ま、許してやるよ」
その言葉を聞いてほっとしたのか
顔が一気にほころんだ
「はぁー、良かった」
「ただし」
その3文字の言葉で
顔が一気にひきつった
さっきからコロコロと表情のかわる奴だな
なんか、カメレオンみてー
「貸し一つな」
「むー。
ケチ。腹黒。悪魔ー」
「今、なんつった!?
なんなら今すぐ貸り返すか!?」
そういいながら、菜乃香の頬を
おもいっきりひっぱってやった
「いだいでしゅ~!
はーなーしーてー!!」
「すみませんでした夕矢様って言え」
「しゅ、しゅみましぇんでした!
ゆーやじゃま~」
「誰が邪魔だって!?」
俺がほっぺを引っ張ってるせいで
全然日本語になってない
「もぉー!!」
だんだん涙目になってきたから
手を離してやったら、
菜乃香の頬は見事にりんごになっていた

