ー夕矢ー
さっきから菜乃香の様子がおかしい
なんか、元気ないっつーか
いつもの菜乃香じゃないっつーか
とにかく、なにかあったみたいだ
でも、さっきから何かあったのか聞くと
「なんにもないよ」
と微笑んで終わりだ
くっそー!
なんで言わねーんだよ?
俺に言えないことなのか?
なんなんだよ?
なんでそんな元気じゃねーんだよ?
なんにもわかんねー
なんにも力になってやれねー
俺って、無力だな.....
「はぁー」
俺のため息に菜乃香が異様にビクッと反応した
こちらをチラッと見て悲しそうに目を伏せ
また違う方に目をそらした
ほんと、なんなんだ?
わけわかんねー!
なんかしたか、俺?
なんだってんだよ!!
「夕矢は.....ごめん、やっぱなんでもないから!」
菜乃香は何かを言いかけて
寝室に入ってしまった
急いで追いかけて中に入ると
もう規則正しい寝息を立てながら眠っていた
早すぎだろっ!
ったく、結局わかんなかっただろーが
ほんと、言えよな.....
そっとベットの横にしゃがんで
眠る菜乃香の髪を撫でた
さらさらの綺麗な黒髪はするりと俺の指の間をすり抜ける
菜乃香がくすぐったそうに少し身じろぎをして寝返りを打った
これ以上触ると起きそうだな.....
そう思い、寝室を後にした

