ー菜乃香ー

夕矢の手を引っ張って
やっと空港の外へと出た


どうしよう

どきどきと息切れで
心臓が爆発しちゃいそう!!


「菜乃香、お前走りすぎ」

「だ、だって、
止まんなかった、んだもん」


しばらくしゃがみこんで深呼吸する

あ、やっと落ち着いてきたかも


「あ、そういえば!
皆の前で思いっきり菜乃香
って呼んだでしょ!?」

「あぁ、わりぃ。
あん時は気が動転してたんだよ」

「もうっ!
あそこに借金取りいたら
しゃれになんないんだからね」

「ありえねーだろ」


顔を見合わせてクスッと笑う

こんななんでもない時間が
すごくすごく大切に思える


これも斎城さんのおかげなんだな


「.....帰るか」

「うんっ!」


また2人で手をつないで歩き出す

今度は私が引っ張るんじゃなく
2人で並んで


夕矢の手から伝わる体温が
全身へと伝わっていく


前から考えてた
やっぱり、嘘つくのは良くない

夕矢に告白したように
私にはもう一つ
皆に告白しなきゃいけない


嘘をついたまま
幸せになんかなれるわけない

決めたよ、夕矢

例え、離れ離れになることになっても
言う!!!