ー紗代ー


「日坂未影ー!
幸せになんなかったら、許さないから」


2人の姿がぼんやりとし始めてから言う

私の声で日坂が一度立ち止まる


「私、斎城さんのことも
大好きだよー!!」

「うるさい、馬鹿....」


今度は聞こえないように
小さい声で言う

ううん、大きい声がでないんだ


涙が次々溢れ出す

こうなることなんて、分かってた

だって、
夕矢には幸せになって欲しいから


夕矢は、私にとって大切な人で
他の人とは比べらんないくらい好き

だからこそ、幸せになって欲しい


私には.....
日坂以外、夕矢を笑顔にすることも
怒った顔や困った顔、照れた顔
にすることも出来ないから


「あーあ、失望した!
お父様、私はあんな奴もう嫌です!!
結婚は他の方とにさせて頂きます」

「あ、あぁ、紗代がそういうなら」


多分、夕矢以外の人とは
結婚なんかしない

夕矢より思える人なんていないよ.....


「ありがとね、紗代ちゃん。
なんなら、いい男紹介するわよ」

「余計な、お世話....っ」


涙を手でぬぐって
お父様達の方に振り返る


「さぁ、フランスに帰りましょ」


幸せになんなさいよね

この紗代様が
身を引いてあげたんだからっ!!