夕矢に早く会長さんのこと聞きたくて
モヤモヤして、授業なんか頭に入らなかった
7限目終了のチャイムが鳴ったと同時に、
私は急いで夕矢の所にいった
「夕矢、帰るよ!」
「は?
なんだよ、急に」
「いいから、早く!!」
「お、おう」
いつもと違う私に
夕矢は少し戸惑っていた
今日は雅と緋那にもさよならを言わずに
教室を飛び出した
もう、私の頭の中は
夕矢に聞きたいことで溢れていて
他の事なんか考えられなかった
家に帰って、制服も脱がずに
私はソファーに座った
「おい、制服しわになるぞ」
「夕矢、隣座って」
「お前、なんか変だぞ」
「いいから、お願い」
夕矢は少し戸惑ってから
私の隣に座った
「夕矢が、ファンの会長さんに
私を見張るように頼んだって本当?」
「会長?
もしかして、麗華のことか?」
「名前は知らないけど.........
すごく綺麗な人。
少しウェーブがかかった長い黒髪で」
「胸、ぺったんこだろ」
「うん、そうそう。
ぺったんこの人!
って、失礼でしょ、夕矢」
「ほんとのことだろ。
麗華になら、俺から頼んどいたんだよ。
菜乃香になんかあったら困るし」
「あ、そうだったんだ。
ありがとう、話はそれだけ」
そっか、ほんとに夕矢に頼まれて.......
お互い、呼び捨てなんだね
そう思うと、胸が苦しくなって
涙がこぼれてきた

