さんざん泣いたのに、
まだ涙が止まらない

このまま一生止まらないのではないかと
少し不安になってきた



「泣きたいときは、思いっきり泣け。
我慢しなくていいから」


ずっと私の隣で桜の木を見ていた夕矢が
そんなことを言ってきた

夕矢の顔は優しく微笑んでいて、
風にさらさら流れる髪が
蜂蜜色に輝いて、綺麗だった

やっぱ、夕矢ってかっこいいな


今更だけど、皆が騒ぐのも
分かってきたかも



「今だけ、頼らせて」


そういって、夕矢の胸に飛び込んだ

頬に当たる夕矢の胸は
硬くて、でもすごく安心できて
心地が良かった


夕矢の手が私の背中に回されて
軽く抱きしめられた

頭を何度もよしよししてくれて、
私の収まりかけていた涙が
また溢れ出してきた


「言ったろ?
いつでも頼れって。 
これからも、ずっと、俺を頼れ」

「うん」


ようやく搾り出せて言えた言葉は
たった2文字の短い言葉


その言葉は震えて
言葉にもなってなかったかもしれない



でも、何故か届いてるような気がした