「おい、菜乃香!?
なんかあったのか?
顔色、悪いぞ」
「わ、私、見ちゃいけないもの、
見ちゃったかも..............」
「は?」
一つだけ、気になってた事があった
お母さんが、突然姿を消したこと
皆、逃げ出したんだといっていた
だから、私もそうなんだと思っていた
ううん、思うようにしていた
でも、お母さんはそんなことで逃げるような
そんな弱い人間じゃない
どんなことがあっても、私に優しく
笑いかけてくれた
透き通ったきれいな声で、
いつも私の名前を呼んだ
でも、逃げたことを否定すると
ある答えにたどり着くから
その答えは、
どうしても受け入れたくなくて
でも、この薬を見て
受け入れざるをえなくなった
お母さんはもう、
この世にはいないのかもしれない...

