まずは棚の上のものを全て下ろし
一個一個、丁寧に拭いていく
棚の上はほとんどが写真で、
ついつい見てしまう
「あ、これ動物園に行ったときのだ!
ポニーちゃんに乗ったんだよ~」
どの写真からも、幸せだったんだ
ということが伝わってくるようだった
「あ、私泣いてる!
なんか、はずかしー」
確かこのときは、
友達とクリスマス会してて、
家にかえるのが嫌で泣いたんだっけ?
「おい、ちゃんと掃除しろよ」
「してるじゃん!」
「のわりには
さっきから写真ばっか見てねーか?」
「だ、だって、つい懐かしくて」
「四の五の言わず、さっさとやれ!
掃除したいって言い出したの菜乃香だろ」
「はぁ~い。
あ、なにこれ?
こんな箱、あったっけ??」
「だから!
ちゃんと掃除しろよ!!」
「分かってるって!
でも、ちょっとぐらいいじゃ........
なに、これ??」
私が夕矢の言葉を無視して箱を開けると
中に薬が入っていた
佐々川病院とかかれた袋には
お母さんの名前が書かれていた
私の手から箱が零れ落ちて
床に落ちていった
足ががくがく震えて、顔が真っ青になった
吐き気がおそってきて、頭がくらくらする
まるで高速回転している床の上に立っているかのような感覚に襲われた

