「ご支度はようございますか?姫」

織り姫の問いに、美しく着飾った初姫は頷いた。

「えぇ・・・」

緊張するわ・・・
疾風様は・・・?

「織り姫・・・疾風様は・・・?」

「先にお待ちです」

緊張感からか、不安げに夫の名を口にする彼女を優しくみつめたまま織り姫は言った。

「そう・・・。」

賑やかな広間の声は控え室にまで聞こえて来る。

そのたびに初姫の胸は緊張でうるさいくらいに音を立てるのだ。

「さぁ、参りましょう。」
息を出し切り、呼吸を整えると、控えの間の敷居をまたいだ。