「ん?」

腕が重い。
首を回してみると初姫が腕枕をされるかたちですやすや眠っていた。

「初子・・・」

愛おしい気持ちがあふれてくる。

こんな気持ち初めてだ・・・

そっと手を伸ばし黒い絹束のような髪をなでた。


その感触で目が覚めたのかまぶたが震えゆっくり開いた。

「ごめん起こしちゃった?初子はまだ寝てていいよ。」

支度をしはじめる疾風を見つめた初姫は不安になった
何処へいらっしゃるの?
私を置いて行かれるの?
私はどうすればいいの?

口に出して言いたかったが我が儘な女と思われるかもしれない。

嫌われてしまうかもしれない。