御簾の向こうからきぬ擦れの音が聞こえて来る。

「そちが初姫か?」

抑揚の無い声に怯みかけたがきっぱりと言った。

「はい。初子にございます。」

「ほう。なかなか美しいではないか。我が側室に迎え入れたかったのぅ。」

え・・・?

「まぁ、宮に選ばれておるしのぅ。そなたには辛い思いをさせるが妖士族の子を産んで貰わねば。」

そうだった。
今から私は顔も知らない人に嫁ぐのだわ

「・・・はい。」

帝はそれ以上は何も言わず去って行ってしまった。