妖士(ようし)

「姫様。白峰は姫様が生まれて来てくださって嬉しく思います。」

初姫の傍らに膝をついた優しい女房は言った。

「姫様。くじける事はありません。恵子姫様はあなた様をお産みになるために亡くなったんですもの。
姫が落ち込んでいたら悲しまれますわ。」


白峰の言葉は胸に染みた。
「ありがとう。白峰。」

膝に力を込めて立ち上がると、微笑んだ。

「行きましょう。白峰。」