その`話´をする父の表情は無機質で。

父も辛いのかとぼんやりそんなことを考えた。

「帝からの勅命だ。じきに出陣の命が下る。」

「分かりました。父上。」
言葉すくなく部屋を出た疾風は自分の部屋の前に来てようやく傍らに竜の姿が無いことに気づいた。

「あれ・・・竜・・・」

探しに戻ろうかと踏み出すがそこで足が止まった。

どうせ迷子にはならないだろうと思い書物を開いた疾風の瞳は文字を追うこともなく一点に留まったままだった。