それからしばらく後―――
京の都には束の間の平穏が訪れていた。

嵐の前の静けさともとれる平穏。

しかし、裏では密かに時が動こうとしていた。



「疾風」

翡翠の宮の一角で黙々と仕事をこなしていた疾風は自分を呼ぶ声にゆるりと顔を上げた。

「父上」

「少し来なさい話がある。」