父に言われるがままに疾風は夢のことを話した。

「いくつもの影・・・か」

政行はまた水盆に向き直り、手をかざした。

水盆に波動が沸き上がり、政行に結果を見せる。

「おそらくは、お前の母親の配下の仕業だろう。
琉妃が命じたとは考えにくいが・・・もしくは、妖怪達の強い妖力に影響されたか・・・」

麗貴妃は類い稀なる霊力を持っている。

その霊力が強い妖力に危機を感じ、夢として見せることで危険を回避しようとしたのか。

「どちらにしても麗貴妃殿の負担となっていることは確かだ。」

政行は息子に目を戻すと、続けた。

「麗貴妃殿には当分幸と織り姫をつかせる。お前は、都の妖怪共を討伐することに専念しろ。」