中で、黒いスーツを着た若い男の人が一人ソファに座って読書をしていた。




―――誰?あたしに気づいてないの?



ソファはあたしのいるドアとは反対方向を向いている。




すると、その男は静かに口を開いた。





「そんな所に立ってないで、こっちにおいでよ。」





―――え?誰かも分からないのに行きたくないし。





「その前にあなたは誰なんですか?あたしに変なメール送って来てたのもあなたなんでしょ?てゆうかこっち向いてくださいよ!!」






あたしが一気に言うと、男は本を置き、ゆっくりと立ち上がってこっちを向いた。