嫌われたのだと思っていた。
でもあたしは弟のような海がずっとずっと大切だった。
その無邪気な笑顔でおねだりをされて、断れた記憶なんてあたしには無い。


「ねぇ、キスして? 俺も、里央がすきなんだ」

「なんで知って……!」

不機嫌な唇に奪われてそれ以上の言葉は出てこなかった。
いつもの優しいキスじゃない、すべてを奪いつくすように蠢く舌はあたしに呼吸さえ許してくれない。

甘く優しく、そんな恭平との関係になれきっていたあたしは、恭平が離れるともうなんだかよく分からなくなりそうになっていて。

そんなあたしの様子を恭平は笑って見下ろした。
ぼすっとベットに押し倒されて、世界が恭平一色になる。