合言葉



梨乃はかけ直した。







プップップ……






「もしもし?梨乃?」



あきらかに
暗すぎる声の奈美。



「そだよ!電話でれなくてごめんね」






「大丈夫だよ!今から会える?」





「会える会える!!いつものマックでいい?」






「うん。ありがとう。今から向かうね。」






「りょうかい!」







ブチ。







あたしはあきらかに
様子がおかしい奈美の声に




びっくりした。






奈美は我慢強いし
めったに弱音はかないし





とにかく梨乃はマックに急いだ







「梨乃!」





マックに入ると
もう奈美は先に座っていた







「遅れてごめんねどうしたんよ」






「実わね……。」



奈美は涙を浮かべながら
一生懸命話してくれた。


梨乃はそれを黙って
受け止めていた





"

奈美には中学2年から付き合ってた彼氏がいた



その彼氏とは
お互い信頼しあってたから



お互いに同じ高校じゃなくても、不安はないと思ってたらしい。



けど、入学式に
彼氏が同じ高校の人に
一目惚れしちゃったらしくて、



今さっき
その話をされたらしかった。


"





「正弥が一目惚れ?」





「うん…。絶対ないって信じてたんだけどな。」




奈美は必死に笑顔を作っていた






「こんなときに無理やり笑うな!正弥が一目惚れはあり得ない!」






「その一目惚れした子は彼氏いないらしいよ」






「ちょっとあいつよんでいい?」