「…兄貴の、彼女…」


彩花さんの前では正直に答えるしかない。


それを聞いたサエがパァッと明るくなる。


「なぁんだぁ!彼女かと思ったしぃ!こんな綺麗なら勝ち目ないなってヘコむとこだったぁ〜」


サエの言葉にギクリと嫌な汗が出る。


「何言ってんだよ!ていうか離せよ。俺達帰るんだから」


さっき彩花さんにはただの友達だと言ったばかりなのに、これ以上サエに余計な発言をされたくない。


「何焦ってんの?ま、私も帰るし。近い内連絡するね〜♪」


そして「じゃあね」と言いながら俺の頬にチュッとキスをした。


「おまっ…!」

「アハハ♪ばいば〜い」


驚く俺を無視して、サエは帰って行った。