「カナ、危ない。」
カナを突き飛ばした。かなりの勢いで突き飛ばした事もあって、カナは転がりながらも外に出られた。
「お父さん・・・?」
起き上がり、父親を探した。しかし、そこには崩れた家しかなかった。モザイクは空に舞い上がり、それから雪のように降り始めた。
「・・・。」
いくつかのモザイクが、カナの頬を切った。血がうっすらと滲んだ。その血を流れ出た涙が流していく。ピンク色の涙。それがいつまでも流れ続けた。
「お、お父さん。」
モザイクの雪が、一瞬だけ父親の姿を映した。と言っても、右手だけだ。カナを押し出した父親の右手だけが、まるで太陽を掴もうとしているかのように残っていた。
恨めしそうに、哀しそうに。
それはキラキラと輝く景色と、実に対照的だった。