「……しゅ…ん…」 あたしの横には、確かに俊の姿がそこにあって、 心地よく耳に響くこの声も スカルプチャーオムの香りも 全部が、俊のもの。 ─… 全部が、本物。 ずっとずっと、会いたくて堪らなかった人。 「…ったく。泣いてんじゃねーよ。」 俊の大きな手が、あたしの頬に触れて、ソッと涙を拭う。 それだけで、バックンバックンと、鼓動が大きく波打つ。 「誰のせいだと…思ってんの…」 俊が腰を屈めて、あたしの目線と同じ高さに、自分の目の位置を合わせる。 絡まる視線が、熱い。