「お前のがバカだろ。」 ゴォーン… と、深夜0時を告げる壁時計の低い音が、 部屋中いっぱいに響き渡る。 …うそ…でしょ? 握っていたシャーペンが、コトッと床に落ちる。 入り口に背を向けたまま、動けないあたし。 体は完全に動くことを止めたのに、見開いた目からは、ハラハラと涙が溢れ続ける。 「ハタチになって早々、髪の毛染め直すのって、お前くらいしかいねーと思うけど。」 スカルプチャーオムの香りがふわっと鼻を掠めて、 髪が少しだけ、優しく引かれる。