シャーペンと君とあたし




「宏人なんかに言われなくたって、分かってるわよ!美奈っ!早く用意するわよ!」


長いストレートの髪をなびかせ、奥の部屋へズンズンと進んでいく蒼。


相変わらず、宏人くんには怒ってばっかだなぁ。


クスッと笑みが溢れる。



「まぁ〜た、蒼が怒ってるよぉ〜

鈴、イスに座って待っててぇ?新聞紙とかタオルとかぁ〜、色々持ってくるからぁ〜」


「あっ、うん。分かった!」


そっか。

家でカラーリングするのって、準備とかあって大変なんだ。



…って!あたしも手伝った方がよくない?



「鈴、部屋から出ちゃダメだかんねぇ〜?」



振り向き様に、そう言い残し、美奈は去っていった。