─…でも。運んだ距離、推定わずか12m



もぉ無理!限界っ!


持ち上げた時はそれほど感じなかった重さで、パイプの部分が腕に食い込んできて痛すぎる!!



あたしの力によって宙を浮いていた5つのパイプ椅子達は、再び体育館の床に足をついた。




「そっち持ってやっからさ。」



─…それも、ほんの数秒のことだった。


聞こえてきた声と共に、右手に抱えていた3体の椅子達がふわっとあたしの傍を離れて、宙をさ迷う。





辿り着いた先に、





「孝太〜っ!」



─…愛しの、王子様