終止符。

その名刺には、私の知っている会社名と、知らない名前が書いてあった。


「…………」


私が黙っていると、その男が表情ひとつ変えずに口を開く。


「ご理解いただけたようですね。私は我が社の社長、すなわちあなたのお父さまからのご指示で会いに来ました。挨拶が遅れましたが、私は社長秘書の長尾と申します」


「それで…何の用ですか?」


予想が外れる事を願いながら聞き返す。


「お父さまが今後、あなたの面倒を見たい。と、おっしゃってます」


心臓がドクリ、と鼓動する。


「…は?」


「お父さまはあなたが、藤原家に戻られる事を望んでいます」

「結構です!」



瞬間、言葉が口から飛び出していた。