「いい雰囲気だろ?今度は夜に来ようか?おすすめのアクアパッツァがあるんだ」

「そうですね、今度…」

社交辞令で答える。

長く感じられた待ち時間の後、料理が運ばれて来た。

この店のボロネーゼはとても美味しくて、母さんが作ったモノと良く似た味だった。

…母さん、父と一緒に何度もこの店に来てたんだね。

当たり前だけど、母さんが手間ひまかけて作った味よりも、上のモノが十数分で出てきて、それをいとも簡単にご馳走する父…。


「美味しいかい?」

「ええ、とても」

「それは良かった」


本当に…


グラスに注がれているペリエの泡の様にプツプツと、少しずつ弾けていく何か…