「ここだよ」


それはビルの1階部分に入っていて、まっ白い壁とガラスのドアが眩しい、イタリアンらしい外観の店だった。

ウェイターに案内され席につく。

私はボロネーゼを頼んだ。


「…涼子もボロネーゼが好きだったよな」


「………」


私がボロネーゼを好きなのは、母さんが作った奴が美味しかったから。

休みの前の日に、野菜と肉をじっくり煮こんで作った母のボロネーゼは、そこらの店に負けないくらい美味しいと思う。