終止符。

そんな思いが渦巻く中だった。ある晩、突然見知らぬ男が訪ねて来たのだ。


30代後半ぐらいで品のいいスーツと眼鏡。趣味の良いネクタイ、ほんのり香る整髪料か何かの匂い。


シャープな雰囲気と顔立ちで、インテリとかキレ者って言葉がピッタリの男。


「夜分突然押しかけたご無礼をお許し下さい。あなたは、滝本咲良さんですよね?申し遅れましたが…私はこういう者です」


そう言い、胸元のケースから取り出した名刺を一枚、私に片手で差し出した。