他の人は皆、既に席に着いていたので「お待たせしました」と私は言った。

「いいのよ」と伯母が言い、続けて伯父が口を開いた。


「君が咲良君か…。まるで涼子君を見ているようだ。しかし、君はいい父親を持っている。運がいいね」


明らかに素直に取ることの出来ない口ぶりだ。

本当の心には蓋をして、私は「ええ、本当に感謝しています」とだけ答えた。


「…さぁ、食べましょう」


伯母の一声で食事が始まった。

テーブルの上にはローストビーフや白身魚のカルパッチョ、綺麗に盛り付けられたサラダなど、レストランの様なメニューが並んでいる。

そして皿の横にあるフォークとナイフ。

私はそれに、ゆっくりと手をのばした。