「待って下さい!なんでもっと早く行ってくれないんですか?そうすれば日取りを変更するとか…」

遮る様に長尾が言う。

「急だったものですから。荷物も運んだ後でしたしね。何か不都合でもありますか?」

「そういう問題じゃなくて…、伯母だからって居候なんて迷惑じゃ…。父はいつ戻るんですか?」

「迷惑も何もご自分の伯母様じゃありませんか?社長はいつ帰国できるかわかりませんよ。なるべく早く済ませるとは言ってましたけど」

「そんな…」


長尾はやれやれ、といった顔をし、前を向いた。


「何かご要望がありましたら、私におっしゃって下さい」

「ありません!!」


それっきり会話は無くなった。