下を向きうずくまったまま、顔を上げる事が出来なかった。

顔を上げてはいけない気がした。



風で葉が揺れる音も、誰かの足音も近所の犬の鳴き声も、ただの効果音に過ぎない。


ただの…




何?


私の肩を叩くのは誰?


ゆっくりと顔を上げると、父がいた。



「…父さん。」


「…ここに居たんだね。」