終止符。

幼き記憶の不鮮明さはあるものの、私と母は決して父に愛されてはいなかった。


記憶の中の父は、滅多に家に帰って来なかった。


たまに帰ってきたと思えば怒ってばかり。


忘れない。


母を怒鳴りつける時の、父の深い眉間の皺。

鋭い、目つき。

体が震えるほどの大きな声。

壁や机を激しく叩く音…。


母は必死に、私にそれを知られないようにしてたけれど、気付かないはずない。

あんなに大きな音が聞こえてくるから…。



私は一度だけ父に言った事がある。

「どうしてそんなにお母さんをいじめるの?」


と。