終止符。

「…もう、もう帰って下さい!」


私の口調は強く、ひどく興奮している。肩が震えているのが分かった。


「……そうですか。ではまた日を改めてという事で。失礼ですが、咲良さんの引き取り手はまだ決まってないでしょう?どうするおつもりなんですか?…まぁ、気が変わりましたら名刺に連絡先がありますので」


そう吐き捨てる様に嫌みを残し、長尾は帰って行った。


私は自分の尖った言葉と態度に驚いたが、それに対する長尾の失礼な言葉には、もっと驚いた。

というよりも、腹が立った。


普通に考えれば、自分の身柄を引き受けてくれるなんて、この上なくありがたい存在だろうが、私にとってはまるで違う。


父を父と感じられる思い出が無い。無いというよりも、その逆の、嫌な記憶しか残っていない。


いつも母に、恐い顔で怒鳴ってばかりいた。


私は笑いかけられた記憶もない。